2017年3月17日に刊行された『TRANSIT 35号 南インドとスリランカ スパイス香る楽園へ』(リンクをクリックするとAmazonのページにジャンプします)に「女神アーンダールに導かれて/シュリヴィッリプットゥール」を寄稿しました。写真は在本彌生さん。
シュリヴィッリプットゥールへの旅は「勘違いから始まった」といえるかもしれません。
人間として生まれたのに、自ら望んで神の花嫁になったという伝説の女神アーンダールにはずっと心惹かれていて、以前にも「恋する乙女のスイートポンガル」で、とろけるように官能的なアーンダール作のスイートポンガルの詩について触れました。が、改めてアーンダールの詩をタミル語で調べてみたところ、スイートポンガルではなく別のスイーツだということに気づいたんです。最初にアーンダールの話をしてくれたタミル人女性は、外国人の私にもわかりやすいように、スイートポンガルに例えたのでしょう。いや、タミル人でもスイートポンガルと、詩に登場する「アーッカラアディシル」の違いはなかなかうまく説明できないようなのです。アーンダールの故郷シュリヴィッリプットゥールのお寺で、その違いをはっきり確認することができました。
さらに、アーッカラアディシルを各家庭で作るのは、アーンダールとランガナータ神(横たわるお姿のヴィシュヌ神)の結婚式であるタミル暦マールガリ月の最終日だと聞いていて、実際にマドラスではその日にお寺で結婚式が行われるので、シュリヴィッリプットゥールではさぞかし盛大な結婚式が行われるのだろうと思って訪れてみると、なんと思わぬことが発覚。
数々の勘違いというか思い込みが重なりながらも、これぞ女神のお導きかもと思えるグッドタイミングの連続で、奇跡的に見事なまでにさまざまな瞬間に立ち会えた旅となりました。ドライバーが道に迷って思わぬ場所にたどり着いたのも今となってはただの偶然だと思えません。
タミルの地が一番美しく彩られる、タミル暦のマールガリ月最終週から春の訪れを祝う収穫祭ポンガルを彌生さんと迷走(笑)&疾走した「女神アーンダールに導かれて/シュリヴィッリプットゥール」。
また、この号では、彌生さんの写真と文で綴る「チェッティナードゥで朝食を」のコーディネートも担当しました。(もう一つ言うと、多くの友人知人が勢揃いしているという何重にもスペシャルな記念号でもあります)
読んでみていただければ嬉しいです。