2011年に書いたブログ記事を少し修正して掲載。
以前、新年のコーラム(吉祥模様)を紹介しましたが、コーラムの本番といえば、なんといっても収穫を祝うお祭り、ポンガル!ご近所ではすっかりコーラムウォッチャーとして知られている私、もちろん朝からフル稼働。写真は全て、ポンガル第2日目で、一番重要な「タイ・ポンガル」の日のもの。この日につきものの食べ物といえば、祭りと同じ名前の料理、ポンガル!普段はスパイシーな味付けですが、この日だけは特別に甘いポンガルを作ってお祝いします
ポンガルは4日間連続するお祭りです。順を追ってご説明しましょう。
ポンガル第1日目-ボーギ(Bhogi)
ポンガル初日のボーギは日本のどんど焼きのようなお祭り。タミル暦のマールガリ(Markazhi) 月の最終日ということもあり、古い物を焼いて新しい物を迎える準備をします(写真左上)。家の壁の塗り換えを行うお宅もあるようです。
翌日のタイポンガルに備えて、買い物をする人達のために露店でもポンガルアイテムを売り出します(写真左下)。この時期にしか採れないサトウキビや春うこん(お供えに使います)、かぼちゃやさつまいもなどの旬の根野菜、手に入れば新米(料理に使います)も、この日に買い揃えます。スーパーマーケットも大混雑で売り切れ続出。びっくりするほどの量のお米を買う人などもいて、気合い度が伺えます。春ウコン(写真右下手前)は料理用でなく、乾燥させたものはタミル語でカストゥーリ・マンジャル(Kasturi Manjal) と呼ばれ、薬用です。料理用のターメリックのように色が肌に色が残らないし、美肌効果も高く、ニキビ治療に使われたりもしているようです。写真奥の黒い植物がサトウキビ。
コーラムもかなり凝ったものになります(写真右上)。
ポンガル第2日目-タイ・ポンガル (Thai Pongal)
タミル暦、Thai(タイ)月の初日。各家庭では、何時間もかけて、朝一番に超大作のコーラムを描いて、通り全体がとても華やかに。写真はご近所ではダントツにセンスがよいお家のコーラム(写真右)。
そして、伝統的には新米を使って、春ウコンを口に結んだ魚籠型の鍋で甘いミルク粥、サッカライポンガル(実際にはチャカライポンガルといっているように聞こえる)を作ります。でも、なかなか新米が手に入らない都市部では、手に入るお米で。新米には独特の臭いがあるそうで苦手な人もいるらしく、日本の感覚と違って、一般的には少し寝かせたお米の方が美味しいと認識されるようです。料理名にもなっているポンガル(Pongal)には、「吹きこぼす」という意味(コーラムの中央に描かれているポットから白い泡のようなものがブクブクでているのが見えますよね?)。ポンガルの日だけでなく、タミル・ナードゥ州では、新居に移った時などおめでたい日には牛乳を茹でこぼす儀式を行います。こぼれるほどに膨らんだ状態がどうやらおめでたい象徴(豊作のシンボル?)のようで、その際に、
「ポンガロー、ポンガル!」と謎の掛け声をかけます(笑)
料理はコミュニティによって違いがあるようで、あるタミルのバラモンコミュニティでは、さつまいもやかぼちゃなど、数種の野菜を一緒に調理したアヴィヤルを作ったり、テルグ系のコミュニティでは、野菜をそれぞれ別々に調理したり、使う材料はほとんど同じですがさまざまです。甘いポンガルに関しては、個人的にベストコンビネーションはスパイシーなワダ(写真右)。止まらない美味しさです。
プージャー(礼拝)の後は、お供えしたサトウキビを食べてみました(コーラムに描かれたポットの両脇にもちゃんとサトウキビが描かれています)。ワイルドにそのままかぶりついて、甘い汁を吸います。少しお行儀は悪いですが、サトウキビを食べると歯が真っ白になるという聞き、必死で頑張りました(笑) ただし、食べた後、水を飲むのは厳禁。口の中が焼けるような感覚を覚えるとのこと。
ポンガル第3日目-マーットゥ・ポンガル (Maattu Pongal)
3日目は、毎日よく働いてくれる家畜(牛)をねぎらう日。マーットゥとは牛の意味で、コーラムにも牛が登場!特に写真下のコーラム、子供が描いたような素朴なものなんだけど、ほのぼの生き生きとしていて、今年のベストコーラム賞をあげたいくらい!見つけたのが午後だったので、草が既に萎れてしまっていたのが残念。(※このコーラムこそ、後に私が激しく愛することになるガウリさんのコーラムです)
この日はポンガルを作らず、ココナッツライス、タマリンドライス、レモンライスなどバラエティライスを作ります(写真左)。また、女の子達が集まって、3色に炊いたライスをカラスや鳥にあげる儀式もあるようです(鳥達はこの日に結婚すると信じられているとか)。カラスはご先祖様の化身でもあり、また仲間同士のつながりが強いことから、カラスの家族のように仲のよい兄弟姉妹となるよう願いをこめるそうです。というわけで、辺りは「カー、カー!」と必死にカラスを呼ぶ大合唱でかなり騒々しくなります(最初、見た時には驚きましたが、気がふれたわけではありません-笑)
牛を飾りつけするのは夕方からという話だったけれど、午後4時くらいに、既に飾り付けを済ませた牛に会うことができました(写真右)。実は牛の角の恐怖症なので、あまり近寄りませんでしたが、かわいいかった!2頭でいたので、並べて撮りたかったのだけど、おやじに「ならば500ルピーくれ」と要求されて断念。
ポンガル第4日目-カーヌン・ポンガル (Kaanum Pongal)
さて最終日の四日目ですが、どうやら、祝うコミュニティとそうでないコミュニティに分かれるようです。例えば、うちにお料理・掃除に来てくれるレディの家族、アイロン屋のおじさん一家などは、この日に家族みんなでビーチやサーカスに出かける習慣があるようです。ポンガル前半はかきいれ時だった八百屋もお休み。
というわけで、結婚後、二度目のポンガル、収穫祭という意味の通り、旬の作物や野菜を上手に活用しているのが印象的です。牛や鳥たちがお祭りに加わるのも楽しいし。
さてこの収穫祭、実はインド各地で行われています。(※インドの暦上の冬至であり)春の訪れ、太陽が北行する縁起の良い時期の始まり、マカラ・サンクラーンティ(Makar Sankranti)として祝う習慣があります。太陽の神様に祈りを捧げるこのお祭り、騒がしいディワリよりも個人的には好きかな。
日本のお正月の時期とも近いので、気持ちも新たにまた1年頑張ろうという気になります(タミル新年は4月なんだけど)。
来年は、ものすごく賑やかだという村のポンガルを体験してみたいな。薪で火を起こして、クレイポットで作るポンガル、見てみたい!
と締めくくる前に、今年一番ツボにはまったポンガルアイテム、毎日配達される牛乳パックのポンガル仕様。か、かわいい!もちろん、ポンガルに使いました。