中秋月餅手作りメモ2024 その①、中秋月餅手作りメモ2024 その②では、
どうにかこうにか月餅を手作りした模様をお伝えしたが、
私の中秋節はまだ終わってはいなかった。
なぜなら、中秋月餅の主役、満月に見立てる卵黄に納得がいってなかったからだ。
アヒルの塩漬卵を求めてカブラマッタへ
シエンタン(鹹蛋/咸蛋)と呼ばれるアヒルの塩漬卵を探しに、
シドニーのベトナム人街カブラマッタに行ってみた。
中秋月餅手作りメモ 2024 その①にも書いたが、
カブラマッタ駅前のベトナム系中華菓子店
「一品餅屋 A-One Cake Shop」で↓の月餅を買った時、
豪州産の塩卵を使っていると教えてもらった。
その時に、冷凍でなく生の塩卵がいいとも聞いた。
家の近所のアジアングロッサリーで見つけた豪州産塩卵の卵黄は色が薄く、
満月とはほど遠かったのだけど、
もしかしたら、カブラマッタならば、
もっといろんな塩卵があるのではないか思ったからだ。
そして見つけたのが↑。
Hot Vit Muoiとはベトナム語でSalted Duck Eggのことらしい。
前に購入した塩卵の卵黄と比べてみたら……。
割ってびっくり!杏色に輝く美人卵黄が登場
上が前回購入した塩卵の卵黄。下がカブラマッタで見つけた塩卵の卵黄。
オーブンで軽く焼いた状態だ。卵黄の底にある白いものは白身。
杏のようなオレンジ色で、飴玉のような艶がある美人卵黄だ。
ここまで色が違うなんて、とても同じ鳥の卵とは思えない。
上の卵は、卵を割る前から発酵臭のようなものが漂っていたのだけど、
下の卵は、割っても匂いがしない。
原材料の違いは、下の卵にはRice wineが使われているということだけ。
一つだけ難点は、下の卵は、卵黄が少しゆるいものがあるということ。
形が崩れてもいい料理に使った。
↓は焼いてみた状態。黄色い卵黄は白っぽくなって満月というより栗に見える。
広東風だけじゃない、中秋月餅いろいろ
ところで、これまで焼いてきたのは、月餅の中でも広東風の広式月餅と呼ばれるもの。
実は月餅は土地によってかなり異なる。
たとえば、卵黄の色を比べた上の写真は、広東州東部の潮州市あたりの中華パイ生地の月餅。
パイ生地を層にするつもりがうまくできなかったので再挑戦して焼いてみたのが↓。
レシピは、東京・西早稲田にある中国茶カフェ甘露の
『はじめての中国茶とおやつ: 旅するように知り、楽しむ』を参考にした。
本に登場するのは、それはそれは美しいお菓子なのだけど、不器用な初心者にはこれが精一杯。
このタイプの月餅は、回油を待たなければいけない広式とは違って、
生地がパリパリした焼き立てを食べるのがおいしいと思う。
渦を描いたように見えるので、螺旋酥や千層酥とも呼ばれるらしい。
層になっていない中華パイ生地の月餅には、蛋黄酥と呼ばれるものがある(下の写真右)。
台湾の月餅だと紹介している記事が多い。
台湾の月餅といえば、焦桐氏の『味の台湾』を読んで知ったのが、
下の写真左の緑豆椪(読み方はリュードウポン。緑豆凸とも書く)。
台湾では、その昔、月餅といえば、これが定番だったらしい。
こちらは塩卵は入っておらず、緑豆餡の優しい黄色で満月をイメージさせる。
中央に入っているのは、肉田麩というのもびっくりだ。
『味の台湾』については、アジアの書籍や映画を紹介する
アジア書堂に書籍レビューを書いたので、興味のある方は読んでみてください。
書籍レビュー「味の台湾」
焦桐 著 川浩二 訳 みすず書房 刊
https://asiashodou.com/asiashodou/906/
アヒルの塩卵を追いかけるうちに、各地の月餅にも興味が出てきてしまった2024年。
2025年はどんな月餅を作ろうか。
と締めくくろうと思ったら、まだメモしたいことがあったことを思い出した!
2025年は塩卵に再挑戦したい
忘れていたけれど、来年は塩卵づくりにも挑戦したいんだった!
正統派は塩水に1ヶ月くらい漬けるやり方。
他に興味のあるのは以下の2つ。
まずは、インスタント塩漬け卵黄。
もしこれで本当に月餅に使えるレベルの卵黄ができるなら手軽でいいと思う。
インスタント卵黄はこれまで何度か試したけれど、
塩辛すぎたり、形が悪かったり、焼くと溶けたりして全部失敗だった。
でもこのレシピはその辺はカバーできる工夫もばっちり。
◎Make your own cured (salted) egg yolks in 48 hours! by applespoon
https://www.instagram.com/reel/C_5sN8JSODC/
もう一つがこの方法。
1ヶ月かかるけれど、塩水につけずに塩卵が作れるのはなかなか画期的。
ブログ記事にまとめたのがこちら→https://www.madewithlau.com/recipes/salted-eggs
というわけで、今年も結局爆走してしまった中秋節。
ちなみに、来年の中秋節がいつになるのかというと
2025年 の中秋節は10月6日 月曜日
来年も(多分)頑張ります。
最後にもう一つ、中国の「ぐるぐるサクサクスイーツ」螺旋酥に触発されて、
前から憧れていたインドの螺旋酥的スイーツ(皮だけね。餡はなし)、
チロテにも挑戦してみたので、こちらも興味のある方は読んでほしい。
ディーパーワリ(ディワーリー)に作る祭り菓子のひとつでもある。
◎インドの渦巻きぐるぐる系スイーツ「チロテ」
https://yoshiiakemi.com/chirote/