『料理通信』JOURNAL / 世界の食トレンドでバンガロール(ベンガルール)の本格派ラーメン店「ナル・ヌードルバー(Naru Noodle Bar)」を紹介しました。
(the photo above by Atul Pinheiro)
バンガロールのおしゃれラーメンポップアップの噂
インドでも日本料理店や、和食や日本を意識した料理を出すレストランも増え、ラーメンの人気度も年々確実に高まっています。
でも、地元の人が手がけるラーメンは、日本人の私にとっては正直ちょっと物足りない印象を持っていました。
バンガロールの美味しくておしゃれな人気ラーメンポップアップ「ナル・ヌードルバー(Naru Noodle Bar)」の噂を現地在住の日本人のTwitterで知ったのは2021年。
日本人がおすすめするラーメンということでまず期待大。
お店のInstagramを覗いてみると、ナチュラルトーンのおしゃれなイラストがベースのフライヤーや、盛り付けが丁寧で美しいラーメンの写真が並んでいます。
作っているのは笑顔がキュートなシェフKavan Kuttappaさん。
表現するならば、さわやか系ラーメン?!なんだか新鮮。
これはおいしい予感がするぞ!
まだロックダウンが完全に緩和されていたわけでなく都市間移動も困難な時期だったので、
コロナ禍じゃなかったら飛んでいけるのにとため息をつきながら、
Kavanさんが創り出す一杯の小宇宙的魅惑のラーメン投稿をただただ眺めているだけでした。
いや、画面に収まりきらない並々ならぬラーメン&ジャパン愛について、いつかお話できる機会をと待っていました。
2022年8月、ついに実店舗「ナル・ヌードルバー(Naru Noodle Bar)」がオープン!
2022年8月、ついに実店舗「ナル・ヌードルバー(Naru Noodle Bar)」がオープン!というわけでさっそくコンタクト。
詳しくは記事を読んでいただくとして、書ききれなかった小話をいくつかここで紹介したいと思います。
うねる麺でカンナダ文字のナを表現
店名の「Naru/ナル」は、日本語の「成る=成長する」という意味と共に、カヴァンさんのお父様ナレーンドラさんのニックネームでもあるそうです。
そして箸でつまんだ麺がうねるロゴマーク(お店のInstagramより借用)は、ナル&ナレーンドラの「ナ 」をカンナダ文字で表したものだとのこと。
こちらがカンナダ文字のナ(na)。確かに似ていますね!
このあたりの話はKavanさんのTEDトークでも紹介されています。
「Kodawari (こだわり)」がキーワードになっているのが面白い!
ちなみに、ロゴを手掛けたのはデザイナーのPia Meenakshiさん。
↓にロゴデザインのコンセプトなどが紹介されています。日本庭園の砂紋にヒントを得たり、ハンコ(印鑑)をイメージしたり、細かなところまで日本が意識されているのがユニーク。
https://creativepool.com/pia-meenakshi/projects/naru
一番人気はインドでまさかの豚骨ラーメン!
さて、Kavanさんのお話で私が一番驚いたのは、ナルの一番人気メニューが豚骨ラーメンだということでした。
インドには、牛肉だけでなく豚肉を食べないコミュニティも多く、
レストランのメニューにはわざわざ「豚肉を使っています」と注意書きがされていたり、
注文した時に「この料理には豚肉が入っていますが本当にいいんですか?」と確認されることもあるほどです。
でも、ラーメンはそのタブーも軽々と越えてしまうのだなー。
さらには豚骨ラーメンに挑戦するベジタリアンの人たちもいるというからますますびっくりしてしまいます。
ちなみにKavanさんは、インドでは珍しい、豚肉を食べるコミュニティKodava(カルナターカ州クールグ/コダグ)の出身。
Kodava(コダヴァ)と「こだわり」って語感が似てるとKavanさん。確かに!
彼じゃなかったからインドで誰がラーメン作るっていうの?!という気さえしてきました。
しかも彼は料理学校の名門、NYにあるCIA(The Culinary Institute of America)で料理を学んで、米国とインドのレストランで活躍してきた実力派なので、今後の展開もあれこれ楽しみです。
クールグチキンカレーラーメンなんてどうですか?
もうひとつ驚いたのが、Kavenさんは全く独学でラーメンを作りはじめたということ。
Youtubeや世界各地のRamenマニア(たくさんいるんですね!知らなかった)との情報交換で麺を完成させたそうです。
彼らのインスタグラムを見ると、たとえば麺の加水率が書かれていて、なるほどラーメン作りって、たとえばパン作りと同じように、マニア心をくすぐる楽しみがあるのかもしれないと改めて感じました。
Kavanさんはインドの食材もいろいろ試していて、たとえばゴアのチョリソーを使ったTantanmenなどもあります。
今後作ってみたい「インドなラーメン」として彼が挙げたのが、お母さんの特製チキンカレーをミックスしたチキンカレーラーメン。
そのカレーはクールグスタイルなのかなと想像すると、
これは絶対食べてみたい!
「こだわり」のお店で「こだわり」のラーメンを
さて、現在ナル・ヌードルバーは完全オンライン予約制ですが、お店は8席なので予約は毎週わずか1、2分で埋まってしまうという人気ぶり。でも、今週からランチのスロットをもう1枠増やしたという嬉しいお知らせが!
桧の香りに似たヒマラヤスギを使い、絞りの布を貼った椅子に、大理石のテーブル組み合わせた美しい店内は、細かなところにもKavanさんの「こだわり」が感じられます。
ナルの「こだわり」ラーメンを食べるためだけにバンガロールに飛んでもいい!と思う今日この頃です。
◎Naru Noodle Bar
Ground Floor, The Courtyard, 105, Kengal Hanumanthaiah Road, Shanti Nagar, Bengaluru
完全オンライン予約制 (予約は↓から)
https://www.narunoodlebar.com/